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    【現在を生きる女論「三谷晶子の非道徳女講座」】


            2012.12.01 Vol.001
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◆もくじ━━━━━━━━━━━━━

1.ご挨拶、非道徳女講座とは 
~既存の「道徳」と「規範」で苦しむことはもういらない~
2.今日のテーマ
「女子力ではない真の女力 ~得する力より受け入れ、育てる力~」
3.女についての格言・名言
「アンドレ・モーロワ編 ~すべての偉大なる恋愛のうらには~」
4.おすすめ、今日この頃
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1. ご挨拶、非道徳女講座とは
~既存の「道徳」と「規範」で苦しむことはもういらない~
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皆さま、こんにちは。小説家の三谷晶子です。
この「非道徳女講座」を購読してくださり、心から感謝します。

さて、このメルマガのタイトル。
読書が好きな方ならどこかで聞いたことがあるものだと思います。
これは、三島由紀夫の名エッセイ『不道徳教育講座』にインスパイアされたもの。
「大いにウソをつくべし」「約束を守るなかれ」「たくさんの悪徳を持て」
「知らない男とでも酒場に行くべし」「女から金を搾取せよ」など、
一見「マジですか?」というテーマで展開するエッセイなのですが、
これが昭和42年に発行されたとは思えないほどに格好いいんです。

特に私が好きなのは「女から金を搾取せよ」というエッセイ。
タクシーに乗った男が持ち金がなくて家に着いた時に妻に出してもらおうとするのですが、
帰宅が遅くなった男に怒っている妻は夫を追い返し、
男がどうするか、という話を枕に進んでいくものです。
これがまた、読むと非常に真っ当で納得のいくお話です。しかも、もちろん面白い。
ぜひ、ご一読をおすすめします。

大先達の著作の面白さのあまり、つい、前置きが長くなってしまいました。
さて、私がこのタイトルをもじり、現代の女論を語ろうとしているのは何故かと言いますと、
最近の女性に必要なことこそ、非道徳であると思うからです。

道徳というと、皆さんは何を思い返しますか?

大辞林で調べてみますと、
【道徳】
[1]ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体。
法律と違い外的強制力としてではなく、個々人の内面的原理として働くものをいい、
また宗教と異なって超越者との関係ではなく人間相互の関係を規定するもの。
[2]小・中学校において、道徳教育を行う教育課程。1958 年(昭和 33)から新設。
[3」〔補説〕 もっぱら道と徳とを説くことから老子の学。

とあります。誰もが身近に思うのは、やはり[1]と[2]あたりですね。

しかし、この[1]に注目をしてみてください。

のっけから、「ある社会で」とあります。そして、その後に「法律とは違い、
個々の内面的原理、および人間相互の関係を規定するもの」とあります。
これは、つまり、道徳とは、現在の社会における、自分の心の中、
あるいは周囲にいる人との関係の中での規範ということです。

しかし、私はよく女性の相談を聞くのですが、
大抵の悩みは「自分の心の中」か「周囲の人との人間関係」なんです。
「あの人が言うからこうしなきゃ、ああしなきゃ」だったり、
または「自分がどうしたいのかわからない」で苦しんでいたり。
ある意味、この大辞林の意味のとおり、きちんと道徳的です。

でも、道徳って苦しむことなのかな。
もしかしたら、その定められている道徳で苦しんでいるところもあるんじゃないかな。

だったら、誰かが作った道徳はとりあえず置いておいて、
非道徳でも本当に自分の心にじんと来ることを探したほうがいい、と私は思うのです。

かくいう私も、今までずっと誰かが作った道徳にがんじがらめになっていました。

私の小説『腹黒い11人の女』は実話ではないものの半自伝的小説で、
そこにも書いているのですが、私は昔、キャバクラに勤めていました。

幼い頃から私は文章を書いて生きていきたいと思っていました。
その通りに、高校を卒業してから雑誌などで文章を書く編集プロダクションに入ったんです。
けれど、編集プロダクションはどこの激務です。
月曜日に会社に行き、土曜日に会社から帰るような暮らしをして、
疲れ果てた私は何もかもを見失っていきました。

自分が本当に文章を書きたいのか、
いつかは書こうと思っていた小説をいつになったら書けるのか、
そもそも、本当に私は小説が書きたいのか、
単に人から「偉い人」だと思われたいから小説を書こうとしているんじゃないのか。

それって、もう、本当に既存の「道徳」に縛られている考えだと思いませんか?

人の目ばかりを気にして、自分がやりたいこともわからなくなって、
小説を書いてもいないくせに、人から「偉い人」だと思われるために
書こうとしてるんじゃないかなんて悩むなんて、我ながら、恥ずかしい限りですよ、本当。

と、人生も恋愛も夢も仕事もこじらせたあの頃のことは、
拙作『腹黒い11人の女』に詳しくあるのでおいておきまして。

そんな風に知らない間に既存の「道徳」や「規範」に縛られて見失ってしまったもの、
わからなくなってしまったものを一緒に探していこう、というのが
この「非道徳女講座」の趣旨です。

「若い女じゃなくなったら、どうすればいいんだろうね」

私の小説、『腹黒い11人の女』にはこういう一節があります。

「若い女じゃなくなったら、どうすればいいのかを、探しに行こう」

このメルマガ「現代を生きる女論『三谷晶子の非道徳女講座』」のテーマはこちらです。

女を“使う”のではなく“楽しむ”ために必要なことを、一緒に探していきましょう。

どうぞ、末永くお付き合いくださいませ。


2.今日のテーマ「女子力ではない真の女力~得する力より受け入れ、育てる力」
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女子力という言葉の意味を調べてみると、このようにあります。

きらきらと輝いた生き方をしている女性が持つ力。女性が自らの生き方を演出する力。
また、女性が自分の綺麗さ、センスの良さを目立たせて存在を示す力。
出典:goo辞書 http://is.gd/7V6Ejp

また、はてなキーワードの「女子力」によれば、
「女性のメイク、ファッション、センスに対するモチベーション、
レベルなどを指す言葉」だそうです。
出典:はてなキーワード http://is.gd/WkIGDr

確かに、綺麗にしていると気持ちいいし、可愛い格好をするのは楽しくうきうきするものです。
しかし、私は女子力という言葉があまり好きではありません。
「女性が自分の綺麗さ、センスの良さを目立たせて存在を示す力」とgoo辞書にはありますが、
その力は一体、何のために使うのでしょうか。

ちまたの「女子力アップ!」と謳っている雑誌や企画は、
その女子力を使うと「お金が儲かる」とか「いい男と巡り合える」とか、
こんなに得が出来ると書いてあります。

でも、自分が得をすることばかりを考えている女性は、本当に綺麗とは言えないと思います。

私の妹は、昔、乳児院に勤めていました。
当時、私と妹は毎週渋谷の着物の着付け教室に通っていて、
妹は、乳児院の勤務後に着付けのための大荷物を持って駆け付けてきました。

乳児院では小さな子どもの世話をするため、お化粧などもちろんできません。
お風呂に入れるのも一人で乳児10人近くを入れなければいけないのでもちろん汗だく。
当然、着付け教室に来る時もすっぴんで髪はひっつめ、汗だくでぼろぼろの状態です。

でも、「どうしたの? すっごい汗だくだよ」と聞いた私に
「いやぁ、もう大変でさ」と笑いながら、
乳児院での仕事のことを話す妹は、ぱぁっと明るい顔ですごく綺麗だった。
しかも、その後、着付けをして着物を着た妹も、もちろん更に綺麗です。

着付けをして着物を着た後の妹の方がいわゆる「女子力」が高い状態ではあると思います。
けれど、私は、汗だくのすっぴんの彼女も本当に「綺麗」だと思いました。
「女子力」で得をするなんて小さいことは、どうでもいいというくらいに。

そのことを、すごく美人の友人に話したことがあります。すると、彼女はこう言いました。

「そういうのってやだよね。渋谷に来るのにぼろぼろの汗だくすっぴんなんてありえない」

私は、こう答えました。

「え? そんなのどうだっていいじゃん。確かにぼろぼろだけど、
自分のやるべきことちゃんとやってぼろぼろなら、格好いいじゃん」

彼女は、私がそう言うと黙り込んでしまいました。
彼女はその時、「やりたいことがない」「何をしたらいいのかわからない」人だったので、
落ち込ませるような発言をしてしまった、とも思います。けれど、それが私の本音です。

確かに、綺麗にしていること、可愛くしていることで女性は様々な恩恵を受けるものです。
けれど、それはちょっとしたお金やすぐに消えるうたかたのものがほとんどです。

シャンペンの泡も薔薇の花束も、もちろん私は大好きですが、
うたかたはそれこそ漢字では泡沫と書き、まさに泡のようなもの。

これからの女子力というか「女力」
(にょりき、と読んでください。イメージとしては法力と一緒です)は、
泡のように消える得することを外側に求める女子力ではなく、
自分の中にどっしり座ったものを育てる力、ままならない現実も受け入れ、
そして、育てていく力なんじゃないかと思うのです。

小さな得をする力より、受け入れ育てる力。
セックスして子どもを体の中で育て、産むという女性の体の構造からしても、
これを目指すのはすごく理にかなっていると思います。

対他人の目ばかりを気にする「女子力」ではなく、
これからは「女力(にょりき)」を目指していきましょう。


3.女についての格言・名言「アンドレ・モーロワ編」
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“すべての偉大なる恋愛のうらには母性愛がある。
真の女らしい女たちが男の力を愛するのは、男の弱さを知っているからである”

アンドレ・モーロワ(1885~1967)
20世紀フランスの小説家・伝記作家・評論家。

「女には母性があるんだから、俺の弱さをわかってよ」と言ってくる男は腹正しいものですが、
確かに母になるということは、ままならずどうしようもない子どもという存在を受け入れること。
自分が「何かをしてもらう」という視点を捨てなきゃ子どもを育てるなんてとてもできません。
「自分が何かしてもらう」ではなく、「相手を受け入れる、愛する」。
そう考えることが出来た時に、この格言の通り、偉大な恋愛が出来るのかもしれません。


4.おすすめ、今日この頃
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江古田 山東餃子本舗 http://is.gd/bGVOjD(食べログ)

皮付き餃子が名物の中華料理店。
テレビなどにもよく出ていて、近隣に住む芸人さんが御用達だそう。
ここの豆苗の炒め物と海老チャーハン、小龍包は絶品です。しかもリーズナブル。
女子力でなく「女力(にょりき)」と考えて思い出すのがこちらのママさん。
50代くらいの中国の女性なんですが、
初めてお会いした時にいきなり「はい、じゃんけんしよう!」と言われまして。
訳もわからずじゃんけんをしたところ、私が負け。
そして、「駄目ね、じゃんけんが弱い女はモテないのよ」と言われる始末。
しかし、確かにじゃんけんの強いママさんは、
美味しくてリーズナブルなご飯を求める江古田の住民にいつもモテモテ。
小さいお店なんですが、仕事帰りにここに寄って
餃子とビールを楽しんで帰る人を見ていると何だかほっとします。
美味しいご飯を明るく楽しく提供するのは、定番かつ無敵な女力(にょりき)です。

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             ◆◇次回予告◇◆

次号は
◆「大人女子よりババ可愛い~可愛いは愛することが出来るということ~」◆
◆「本当の女友達」◆

についてなどお送りする予定です。

次回の配信は12/15になります。

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