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□■ 杉 山 茂 樹 「 たかがサッカー、されどサッカー 」 ■□
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vol.001 (創刊号) 2011.09.02 発行
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◆◇ 目次 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1. 本号のテーマ 「本田圭とザッケローニの関係」
2. Q&Aコーナー
3. お知らせ
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■ 本田圭とザッケローニの関係 ━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
ザックジャパンならぬ本田ジャパン。日本代表の現状を敢えて言えばそうなる。
ザッケローニの存在は確かに大きい。日本代表のサッカーが、ザッケローニの就任を
機に変わったことは事実だが、それが一番の原因かと言われると違うのではないかと
思う。本田圭佑の存在は、それ以上に大きい。僕にはそう見える。
アジアカップ優勝。8月10日には、ライバル韓国を3-0で一蹴した。ザックジャパンは、
ここまで快調にステップを踏んでいる。しかし、まだ僕はザッケローニに対して、この監督
で大丈夫だと、諸手を挙げて賛同しているわけではない。太鼓判は押せずにいる。
彼がB案と称する3-4-3へのアプローチは、一流監督らしからぬ、期待を裏切る方法
だった。「難しいテーマにトライしている、だから、完成までには時間が掛かる」とは、
ザッケローニの弁。しかし、僕はそれについて簡単に納得することはできない。ペルー戦、
チェコ戦における選手の混乱ぶりを見ていると、ザッケローニから要領の良い説明が成さ
れていたようには思えない。世の中にはもっと上手な説明ができる監督が存在するとの
確信が僕にはある。
また、攻撃的サッカーを標榜しているにもかかわらず、守備的サッカーの典型的な布陣
(3-4-1-2)に陥ることもしばしばある。アジアカップ準決勝の韓国戦、チェコ戦の後半
も事実上、そうなっていた。攻撃的サッカーを標榜する監督が強く拘っている点に、ザッケ
ローニはそう拘りを持っていない。立ち入り禁止区域に、頓着なく足を踏み入れる傾向が
ある。危惧すべき点を垣間見ることができるのだ。結果オーライ的なムードを少なからず
感じる。
ズバリ、本田圭に救われていると僕は見る。客観的に見て、彼はザッケローニ以上に際立っている。本田ジャパンと言いたくなるシーンに何度となく遭遇している。アジアカップの韓国戦、カタール戦等々は、それを象徴する試合になる。良くも悪くもザックジャパンは、本田のワンマンチームと化していた。
圧倒的なキープ力。彼の魅力を一言でいえばそうなる。中盤の高い位置でボールを受けても、簡単に相手に奪われることがないので、味方はその隙に、態勢を整えることができる。適切な場所にポジションを移動することができる。チームはグッと落ち着く。だが、それ以上に大きな魅力はユーティリティ性だ。右もできれば左もできる。もちろん真ん中もできる。センターフォワードもできれば、守備的MFもできる(ザックジャパンではプレイしていないが)、名古屋グランパス時代は、左サイドバックもこなしている。
メンバー交替は、これでずいぶんバラエティになった。なにより、これまでの日本では滅多にお目に掛かることができなかった戦術的交替(ベンチに下げる選手と、別のポジションの選手を投入する)をしやすくなった。つまりメンバー構成の選択肢は、飛躍的に増えた。
さらに言えば、彼にはバランサーとしての魅力もある。バランスの乱れを補うポジション感覚に優れている。香川が真ん中に入れば、本田圭はサッと左に開く。ともすると自己顕示欲強そうに見える彼ではあるが、ピッチ上の空気を読む力は誰よりもある。誰よりも全体が見えいる。これまでにはないタイプの中心選手だ。
彼が登場する前と後で、日本のサッカーは大きく変わった。そう言うべきであると僕は思う。ザッケローニではない。あの岡田ジャパンが、南アW杯でベスト16入りした理由も、本田圭がスタメンを飾ったことと大きな関係がある。彼がもし従来のように、ベンチを温める存在だったら、岡田ジャパンが劇的変身を遂げることはなかったと断言できる。
そしてその流れはいまも健在。途絶えることはない。本田圭不在は考えられないものになっている。それだけに痛いのだ。本田圭のリタイアは。報道によれば、右膝半月板損傷で当分、代表に合流できない状況にあるという。本田なしでどれほどやるか。つまり、本日行われる北朝鮮戦以降の数試合は、まさにザッケローニの真価が問われる戦いになる。その評価を定めることになる戦いだ。
片や本田圭にとっては、痛恨の負傷になる。報道されている通りの怪我なら、ビッグクラブへの移籍は、きわめて難しくなったと言わざるを得ない。8月22日付のブログで、僕は、その高い移籍金がネックとなり、中田英の二の舞を演じる可能性なきにしもあらずと述べたが、実際、彼に興味を示していると言われたアーセナルは、パク・チュヨンをモナコから獲得した。本田圭の優先順位は、彼に劣っていたことが判明した。この怪我は、まさに泣きっ面に蜂。弱り目に祟り目だ。
本田圭に今後、さらなる昇りの階段は用意されるのか。行き場を失うことにならないか。
ザッケローニは、彼なしで評価を高めることができるのか。両者に対して、僕は少なからず
不安を覚えるクチだ。心配が杞憂に終わることを願いたい。
■ Q&Aコーナー ━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
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■ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
最後にお知らせをひとつ。
9月5日、僕の書き下ろしの新刊が発売されます。
タイトルは「3-4-3 ~究極の攻撃サッカーを目指して~」(集英社新書 798円税込み)
この試合を見ていなければ3-4-3は語れないという12試合をピックアップ。ケーススタ
ディを試みた本です。ご興味のある方はぜひ。
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発行元:ブレイン株式会社 http://www.blayn.co.jp
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